地域公共交通計画とは
現在、全国的に人口減少・少子高齢化が進み、運転手不足の深刻化、公共交通を確保・維持するための公的負担の増加等により、公共交通の維持は容易ではなくなってきています。このような背景のもとで地域の移動ニーズを踏まえ、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律の改正法が令和2年11月に施行、「地域公共交通計画」の策定が努力義務となりました。同法では、「地域が自らデザインする地域の交通」、「地域の移動ニーズにきめ細かく対応できるメニューの充実」、「交通インフラに対する支援の充実」という3つのポイントが示され、これからの地域交通政策のさらなる推進が求められています。
基山町地域公共交通計画について
町では、平成26年3月に「基山町地域公共交通総合連携計画」を策定し、地域の支え合いによる生活安心度の向上のため地域公共交通事業の推進を図ってきました。平成30年度には同計画が終了、令和2年に改正された地域公共交通の活性化及び再生に関する法律により、今後も持続可能な旅客運送サービスの提供を確保・維持していくべく、この度「基山町地域公共交通計画」を策定しました。
計画の経緯
令和4年(2022年)3月31日 公表
令和6年(2024年)6月27日 一部改訂
【一部改訂の理由】
地域公共交通計画における補助系統等の位置付けの補助要件化(計画制度と補助の連動化)に対応するため。
【改訂箇所】
第9章_計画の推進体制に「補助系統に係る事業の概要や役割等を示した一覧表」を追加
計画の期間
本計画の期間は、令和8年度(2026年度)までとします。
基本理念
「アイ」・「人」・「場所」をつなぐ公共交通
本町が目指す将来像「アイが大きい基山町~住む人にも訪れる人にも満足度NO.1のまち基山の実現~」を達成するために、町民、交通事業者、行政をはじめとするあらゆる関係者が連携して、持続可能な地域公共サービスの提供を確保するという考えによるものです。
計画書(ダウンロード)
「基山町地域公共交通計画」の計画書はこちらからダウンロードできます。
対象区域
地域公共交通計画の区域は基山町全域を対象とします。将来の公共交通軸のイメージを以下に示します。3つの地域拠点(都市機能誘導区域)、交通結節点を結ぶ交通軸を地域内基幹軸、各地域とこれらの拠点とを結ぶ広域的な交通を生活軸として位置付けます。
詳細な図面はこちらからご確認ください。
イメージ図
公共交通の課題
(1)移動特性・ニーズに応じた利便性の高い交通手段の確立
町では、高齢者夫婦世帯や高齢単身世帯の増加が見込まれており、運転免許証の自主返納者も今後増加していくと考えられます。しかし、現在移動環境については決して利便性が高いとはいえず、高齢者の健康で豊かな生活に寄与できない恐れがあります。このため、自家用車が無くても、移動特性・ニーズに対応した、誰もがより移動しやすい環境を整えていく必要があります。
(2)持続可能な公共交通体系の構築
町内のコミュニティバスは基山町全域をカバーするため、西部地域などの乗降客数が少ない地域に対しても路線として維持しており非効率な運行形態となっています。現在のコミュニティバスの運行事業費のうち、運行収入は1割程度で9割以上の運行事業費を国の補助金や町の財源で補填しています。公共交通の持続性を確保するためには財政負担額を抑制し、町内の効率な移動を図っていく必要があります。
(3)公共交通利用を促す環境の創出
誰もが公共交通を利用しやすい環境を創出するには、今後も継続して世代や目的に応じたより効果的な公共交通利用促進策を検討・実施していくことが求められています。
(4)上位計画や関連施策との連携
都市計画マスタープランに定める都市軸、交流軸に合わせた公共交通の整備は必要不可欠です。また、立地適正化計画や中心市街地活性化基本計画で町の拠点として位置づけられている基山駅と基山町役場等を結ぶ軸は本町の活性化を図っていく上で強化が必要です。そのほか、福祉計画や観光施策とも連携した地域公共交通を実現することが重要です。
基本方針
(1)まちづくりと連携した地域公共交通サービス
コンパクトで持続可能なまちの実現に向けて、町内の拠点(都市機能誘導区域)を結ぶ基幹的な公共交通軸の形成を目指していきます。基幹軸の形成により拠点へのアクセス利便性が高まり、公共交通利用者の増加が期待されます。
(2)誰もが使いやすい地域公共交通サービス
高齢者をはじめとする町民や町外の来訪者の誰もが利用しやすい移動手段の創出を目指します。町内における公共交通の利便性向上により、利用者の満足度の向上が期待されます。また、自家用車が無くても移動ができる環境があれば高齢者の免許証返納の後押しにもなります。
(3)みんなで支える地域公共交通サービス
持続可能な公共交通の実現には町民、事業者、行政などの全ての関係者が「当事者」意識を持ち、ともに作り・育てる必要があります。過度な自家用車利用から、公共交通へと転換を促し、乗って支える意識の醸成に努めます。
(4)まちの魅力を引き立てる地域公共交通サービス
基山町を魅力ある町にしていくうえで地域公共交通は重要な役割を担いますが、産業振興や医療・福祉、観光等の他分野施策と連携することで相乗効果が期待できます。また、町民の日常的な移動特性を踏まえると隣接市町との連携も必要不可欠です。
(5)持続可能な地域公共交通サービス
本町では町内の移動を支えるためにコミュニティバスの運行を行っていますが、利用者数が少ないため公的資金を投入せざるを得ない状況です。また、地域の公共交通を持続可能なものにしていくためには、財政負担の維持・軽減は必要不可欠です。
施策
基本方針に基づいた目標を達成するために、具体的な事業の柱として以下の8つの施策を位置付けます。
(1)【既存交通の維持・確保】 ・既存路線の維持・確保 ・公共交通事業者への支援 | (2)【コミュニティバスの改善】 ・運行ルート・ダイヤ等の見直し検討 ・安全で快適な利用環境の確保 ・運賃決済における利便性向上 ・バス停の環境整備 | (3)【交通結節点の利便性強化】 ・交通結節点へのアクセス利便性の強化 ・乗継利便性の向上 ・待合・乗継環境の改善 | (4)【利用促進に向けた連携強化】 ・MaaSの導入に向けた調査・検討 ・収益施設との連携強化 ・周辺自治体との連携強化 |
(5)【まちづくりにおける各施策との連携】 ・まちづくり計画との連携 ・観光施策との連携 ・健康・福祉分野との連携 | (6)【公共交通への町民参画の推進】 ・定期的な協議会の開催 ・アンケートなどによる町民意見の把握 | (7)【利用促進に向けた取り組みの強化】 ・利用促進の啓発 ・多様な媒体を用いた情報の提供 ・運行情報の提供 | (8)【将来を見据えた新たなモビリティサービス導入の検討】 ・オンデマンド交通の導入検討 ・多様な地域輸送資源の活用 ・次世代技術を活用した公共交通の検討 |
計画の推進体制
(1)進捗管理
本計画は、各施策の目標値を設定し、達成状況を見ながら計画の進捗状況を管理していきます。
計画の推進と目標達成に向けて、Plan(計画立案・評価指標の設定)、Do(計画の円滑な実施)、Check(目標の達成度評価・課題の整理)、Action(評価・改善の妥当性検証)のPDCAサイクルに沿って、毎年度、継続的に進捗管理を行います。
(2)推進体制
基山町の地域公共交通に係る協議会において、取組の実施状況の確認、効果検証や取組改善案などについて協議を行います。また、計画期間における社会情勢の変化を把握しながら、上位関連計画などの方針と整合性を図りつつ計画を推進します。
(3)本計画の改定
本計画は、必要に応じて見直しを行います。スケジュールについても同様に必要に応じて見直しを行います。