中山間地域等は、河川の上流に位置し、そのような地域において取り組まれる農業生産活動は、洪水や土砂崩れを防ぐ、美しい風景や生き物のすみかを守るといった、広く住民全体に及ぶ多面的機能を発揮しています。
しかし、平地と比較して農業生産条件が不利なことや高齢化、人口の減少から中山間地域等の農業生産や集落の維持を懸念する声もあがっています。
このような中で、中山間地域等直接支払制度は、生産条件が不利な地域における農業生産活動を継続し、対象地域の多面的機能を確保するために、国や地方自治体が支援を行う制度として、平成12年度から実施しており、平成27年度からは、「農業の有する多面的機能の発揮の促進に関する法律」に基づいた安定的な制度となっています。
これまでに、令和2年度から開始された第5期対策(令和2年度から令和6年度まで)を実施しており、令和7年度からは、新たに第6期対策(令和7年度から令和11年度まで)が開始されています。
基山町においても、本制度を有効に活用し、地域の農業生産の維持・発展、活性化に結びつけていきたいと考えています。
中山間地域等直接支払制度とは
中山間地域等直接支払制度は、農業生産条件の不利な中山間地域等において、集落等を単位に、農用地を維持管理していくための取決め(協定)を締結し、それにしたがって農業生産活動等を行う場合に、面積に応じて一定額を交付する仕組みです。
制度の対象となる地域、農用地及び対象となる参加者について
下記の地域・農用地・参加者の対象要件をいずれも満たしていることが交付を受ける条件となります。
1 対象地域
地域振興立法で指定された地域(注1)または、地域振興立法で指定された地域に準じて、県知事が特に定めた基準を満たす地域(特認地域)
(注1「特定農山村法」「山村振興法」「過疎地域自立促進特別措置法」「半島振興法」「離島振興法」「沖縄振興特別措置法」「奄美群島振興開発特別措置法」「小笠原諸島振興開発特別措置法」「棚田地域振興法」等によって指定された地域)
※基山町は令和3年度に棚田地域振興法で定める指定棚田地域に指定されました。
2 対象農用地
(1)急傾斜地 ・・・ 田は1/20以上、畑は15°以上
※田の傾斜1/20とは、農地の両端を結んだ水平距離20に対し、農地の最も低いところから最も高いところを結んだ垂直距離が1であることを示して
います。
(2)緩傾斜地 ・・・ 田は1/100以上1/20未満、畑、草地及び採草牧草地は8°以上15°未満であり、次のいずれかを満たす場合
ア 急傾斜農用地と物理的に連坦している緩傾斜農用地
急傾斜農用地と同一の集落協定内において、通作、水管理等上流の急傾斜農用地を維持する上で必要な一団の農用地に限る。
イ 急傾斜農用地と営農上の一体性のある緩傾斜農用地
急傾斜農用地と同一の集落協定内において、通作、水管理等上流の急傾斜農用地を維持する上で必要な一団の農用地に限る。
なお、「営農上の一体性を有する」とは、一団の農用地を構成するすべての団地が、以下のいずれかの条件を満たす場合に限る。
a 団地間で耕作者、受託者等が重複し、かつ、そのすべての耕作者、受託者等による共同作業(実施要領の運用第7の2の(3)のア及びイ の作業(乾燥・調整を除く)のうち、1種類以上を共同で行うことをいう。)が行われる場合
b 同一の生産組織、農業生産法人等により農業生産活動が行われている場合
c 団地間に水路、農道等の線的施設が介在し、当該施設が構成員全員によって管理されている場合
ウ 高齢化の進行により耕作放棄地が進んでいる緩傾斜農用地
緩傾斜農用地を含む集落協定に係る高齢化率・耕作放棄率の両者が全国平均以上とする
(高齢化率30%以上、耕作放棄率:田5%以上、畑10%以上)
エ 急傾斜の田に混在している場合の緩傾斜の畑
3 対象となる参加者
集落等を単位とする協定を締結し、5年間農業生産活動等を継続する農業者等
交付金の交付単価について
地目及び傾斜要件別の交付単価
地目 | 区分 | 交付単価 (円/10a) |
田 | 急傾斜(1/20以上) | 21,000円 |
畑 | 急傾斜(15°以上) | 11,500円 |
交付金の使途について
交付金は協定参加者の話し合いにより、地域の実情に応じた幅広い使途に活用できます。
(使途は、予め協定に定めておく必要があります。)
基山町における中山間地域等直接支払制度の実施状況について
基山町では現在、7集落協定が令和2年度から開始された中山間地域等直接支払制度の第5期対策(令和2年度~令和6年度)に取り組んでおり、耕作放棄の発生防止活動や、水路・農道等の泥上げ、草刈り等の管理活動を集落協定参加者で協力しながら実施しています。また、令和2年度からの第5期対策では、中山間地域における農業や集落の維持を図っていくための話し合いを行い、地域の将来や地域の農地をどのように引き継いでいくかを記載した「集落戦略」を作成しました。令和7年度から始まる第6期対策では、ネットワーク化(複数のの集落協定間において活動の連携体制を構築すること)や複数の集落協定間での統合、集落協定への多様な組織等の参画に向けて、協定参加者で話合いを重ね、農業生産活動が継続的に行われるための体制
づくりを推進するために「ネットワーク化活動計画」を作成します。
前年度の実施状況について