基山町基山町移住・定住サイトトップへ

基山町は他とはちょっと違う! 未来の展望を見据えたまちづくりとは。

最終更新日:

 

佐賀県の東部に位置し、福岡県とも隣接する基山町。一見全国のどこにでもあるような地方の田舎町のようですが、お話をうかがっているとちょっと他とは違う、未来の可能性に満ちた魅力ある町のようです。今回の記事は私たち福岡移住計画の“外からの目線”で見た基山町のリアルをお届けします。


連載初回にご登場いただくのは、基山町の松田一也町長。失礼を承知ながらある意味疑いの目を持ちつつも基山町は本当に他の町とは違うのかうかがってきました。

 

― 高齢化と人口減少により、日本の地方は町が廃れ、空き家が増えていくという共通の課題を抱えています。基山町も地方として例外ではないと思いますが、現状はいかがなのでしょうか?

 

今、基山町の世帯数は約6,800件で、そのうち162件が空き家です。昨年は150件ですから、空き家の数自体は増えていて、そういう意味では他の地方と同じかもしれません。ただ、大きな違いがあります。実は、単純に毎年10件ちょっと空き家が増えているというわけではないのです。年間30~40件ほどの物件は利活用され、それを上回る40~50件くらいが空き家になっているという状況です。

 



― えっ、毎年、転入される方も多いのですね。

 

実はそうなんです。ベースとして、基山町の人口推移についてお話しておきましょう。こちらをご覧ください。グラフの一番上、1970年の町民は9,735人で、旧住民として黄色帯にしています。それから2000年のピークになると人口が倍増しました。旧住民の人数はほとんど変わらず、ベッドタウン化により同じくらいの新住民(青色帯)が流入してきたからです。その後は、子どもたちが町外に出て行ったことで少しずつ減少。そして2018年現在は、新しく転入してきた住民が787人(赤色帯)います。つまり、今は高齢化による自然減と、若い世帯の転入による社会増が起こっているわけです。あと数年したら、転入世帯やそのお子さんが増えることで、人口が増加すると見込んでいます。




― 過去から見ていくと、わかりやすいですね。

 

基山に転入者が多い要因として受け入れてもらいやすい土壌があります。歴史の面からさかのぼると、基山には「混ざる文化」というものがあります。飛鳥時代、太宰府を守るために基山に作られた日本最古の山城・基肄(きい)城は朝鮮式で、大陸の文化が入っていましたし、全国から防人が集まってきたと言われています。江戸時代には対馬藩宗家の領地として治められ、先ほどお話したベッドタウン化したときには各地から引っ越して来られる方々がいた。まさに、混ざることで作られてきた町なのです。
そして今後、さらなる波をどう起こしていけるかというのがわが町の重要なミッションです。もともといろいろな人を大らかに受け入れてきた土壌があるので、移住先に向いているんです。

 



― なるほど、その「混ざる文化」がベースにあって、今さらに社会的な人口増を目指しているのですね。となると、町の活性化、特に賑わいの軸となる商店街の活性化などにも力を入れているのでしょうか?

 

はい。基山には駅前に「基山モール商店街」というものがあり、30強の店舗が並んでいます。私が4年前に副町長として来たときには、約10店舗が空いていたのですが、今、空きは1店舗だけになりました。

 





― すごいですね。どのような店舗が入ったのでしょうか?

 

基山町の特徴として、ひとり暮らしの高齢者世帯とシングルマザー率の高さがあります。シングルマザーの方にとっては、混ざる文化の基山町は人付き合いがしやすくて、町内や近隣に就職先がたくさんある。子育て支援や障害のある子どもの支援もしっかりしているというのも選ばれる理由の一つだと思います。
今、基山町で取り組まなければならないのは「少子高齢化対策」というふわっとした話ではなくて、ひとり暮らしの高齢者やシングルマザーの支援です。そこでこの4年で商店街に新しく入ったのは、病院、マッサージ、デイサービス、保育園、ダンススタジオ、障害児のための学童2つ、障害者の事業所。全て基山町のソーシャルニーズに対応した施設です。



― 駅前という利便性のいい商店街に、町のニーズに合った施設が次々と入ったとは、素晴らしいですね! 商店街ではこれから何か新しい取り組みを計画されていますか?

 

今年3月には「基山町中心市街地活性化基本計画」の認定を受けました。これから「ストア イン ストア」という試みを始める予定です。商店街は一つひとつの店舗が大きくて、空き店舗を改装してお店を始めるには、設備投資も家賃もお金がかかってハードルが高い。でも、お店の一角を貸してもらえれば、家賃を抑えて小さく始められる。そこで成功すれば、改めて大きな店舗を構えればいい。そのようなチャレンジショップというか、インキュベーションのようなことができればいいなと準備をしています。




― 確か、中心市街地は「コンパクトシティ」にも選定されていますね。

 

そうなんです、全国32か所が選定された中で、町としては基山町が唯一です。駅前から商店街へ向かう道を舗装したり、電動サイクルで基山を回る仕掛けを考えたり、歴史のある場所をめぐるサインなども設置したいと考えています。あとは、町の特産品であるエミューやキクイモを使った商品を商店街で売り出そうという構想もあります。
これから基山町では、動いてくれる人が必要になります。新しく基山に来た人はもちろん、既存の人たちが新しいことをしようという動きもあり、いい感じになってきていると思います。
町長に就任した4年前に比べ、駅前のモール商店街はすごく変わりました。中心市街地には住宅も増えてきていますので、これからいろいろと好転してくると見込んでいます。

 

― さらに地方の共通課題でもある空き家対策についてはいかがでしょう?

 

空き家対策は個別に、持ち主のニーズを丁寧に拾いながらやらなければいけません。行政は総論でやりがちですが、そこは個別にしっかり対応していきたいと考えています。9月には定住促進の担当として、不動産の専門家を採用しました。これからの社会増に備えて空き家の流通は肝になってくるでしょうね。

 

― どんな方に基山町に移住してきてほしいですか?

 

うちは子育て支援に絶対的な自信を持っていますので、若い世代で子育てをするような方にピッタリだと思います。実際にそういう方が増えています。加えて、一度外に出て行った方々が結婚して、子育てにいい環境を求めて戻ってこられるというパターンも結構あります。同じような世代、さらにそれを見守る世代が集まれば活気溢れるでしょうね。

 

― では今、基山町には何が足りないとお考えでしょう?

 

インパクトでしょうね。今は高速の基山パーキングエリアのイメージしかなくて、最近は少しエミューで知られるようになってきたくらい。まずは基山に来てもらう仕掛けを作り、交流人口を増やしていければと思っています。もともとスポーツ交流は盛んにやっています。
実は今新しいプロジェクトを検討しています。基山で特別な日を演出して、何度も来てもらうような試みです。

 



― 最後にこれから基山町をどんなふうにしていきたいか、構想をお聞かせください。

 

今、町はどんどん動いているところではありますが、私が町長になる前から『おかえりのまち、基山』というフレーズを掲げています。ひとつは、ここから外へ仕事に通っている人に向けてのおかえり。2つ目は、地縁のある人のUターンやJターン、孫ターンに対するおかえり。そして最後は、特別の日などを契機として基山に来て、縁もゆかりもないけれど、来てみたら「ほっこりする町だね」「第二のふるさとみたい」と感じて、移住される人に向けてのおかえり。これら3つをうまくやっていくことで、基山町の未来は必ず明るいものになると信じています。




さらに具体的な施策について、それぞれの担当課の平野由夏さん(定住促進課)と、寺﨑一生さん(産業振興課)にもお話を伺いました。

 

― 平野さんは定住促進課で空き家対策を担当されているのですね。

 

基山町は空き家対策に本格的に取り組み始めて3年目になります。先ほど町長も話したように、昨年は150件の空き家があったのですが、今年調査したところ113件はそのまま空き家で、37件は新たに活用されていました。町としては空き家の所有者に、利活用の希望があるかどうかアンケートを取り、利活用したいという方には空き家バンクへの登録をお願いしています。
さらに空き家バンクへの登録だけでなく、一般社団法人移住・住みかえ支援機構(JTI)の「マイホーム借上げ制度」というものがあり、これはシニア層の皆さま(50歳以上)のマイホームを借上げて転貸し安定した賃料収入を保証するサービスなのですが、基山町としても相談窓口を開設しご紹介しています。また、手放したくないという方には、空き家の管理方法についての相談も受け付けています。


昨年3月には「基山町空家等対策計画」を作り、今年9月には不動産の専門家を採用して、ますます取り組みを強化していく予定です。
基山町では昨年から「移住体験」も受け入れています。全国の幅広い年代の方々からお問い合わせいただき、この1年で45組ほどの利用がありました。実際に来られた方々は基山をとても気に入ってくださって、中古物件をリニューアルしたいというご要望も多いので、空き家問題と移住定住をリンクさせて、双方に喜ばれるような形にできればと思っています。

 



― 移住する際、そこに仕事があるかどうかというのも重要なポイントになります。寺﨑さんは産業振興課で就業の支援を担当されているとのことですが、基山町ではどんなことをされているのでしょうか?

 

大きく2つご紹介したいと思います。ひとつはこの春、「基山町合同就職相談会&工場見学会」を開催しました。地元の求職者やUIJターンの就職希望者を対象として、町内企業とのマッチングを図るものです。相談会には、地元の優良企業である『サンポー食品』、『田中鉄工』、『田口電機工業』、『ダイワ』、『伊藤ハムウエスト』が参加されて、工場の見学会も行いました。基山町内にはほかにも『コカ・コーラ』や『東洋水産』など多数の工場があります。



もうひとつは創業に関する支援があります。町ではもともと創業の相談を受けていたのですが、昨年から町内で創業予定の方、創業して間もない方を対象とした「創業支援セミナー」を始めました。受講は無料で、創業時に奨励金20万円を交付したり、登録免許税の軽減措置があったりと、大きなメリットがあります。

 


お話をうかがって見えてきたのは、どの地方も同じだと思っていた社会課題に真摯に向き合い、町のニーズにあった計画や取り組みを行っていること。そのことにより商店街も廃れることなく活気を取り戻し、これからの時代を担う子どもたちへの支援も充実している。これまでの分析と計画、さらには空き家対策についても専門の担当者が就くことで良い変化が生まれる。そういった期待感が基山町の魅力の一つになっているのかもしれません。

 

次回は実際に基山で暮らしながら仕事は福岡に通っている方のリアルなお話をお届けしたいと思います。

(福岡移住計画)

このページに関する
お問い合わせは
(ID:1945)
 
基山町役場
〒841-0204  佐賀県三養基郡基山町大字宮浦666番地   Tel:0942-92-2011(代)   Fax:0942-92-2084  

Copyright 2018 Kiyama Town All rights reserved.